減価償却の計算方法(定額法・定率法)と、パソコンや車の計算例
減価償却 計算ツールを開く定額法・定率法で、年ごとの償却費と未償却残高を計算します。
仕事用にパソコンや車を買ったとき、代金をその年の経費に全部入れられるとは限りません。何年も使う資産は、使える年数に分けて少しずつ経費にします。これが減価償却です。
この記事では、定額法と定率法の計算式と、年の途中で買ったときの月割を説明します。少額の資産を一度に経費にできる場合も、パソコンと車の例で取り上げます。主に個人事業主の所得税の扱いで書いています。
減価償却が必要になる資産
建物・車・パソコン・機械など、時間がたつと価値が減っていく資産を減価償却資産といいます。土地や骨とう品のように、時間がたっても価値が減らないものは対象外です。
使える期間の目安として、資産の種類ごとに法定耐用年数が決まっています。よく使うものは次のとおりです。
| 資産 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| パソコン(サーバー用を除く) | 4年 |
| 普通自動車 | 6年 |
| 軽自動車(総排気量0.66リットル以下) | 4年 |
| 事務机・いす(主として金属製) | 15年 |
| 事務机・いす(金属製以外) | 8年 |
同じ車でも、運送業などで使うものは年数が違います。中古で買った資産は、残りの使用期間を見積もる簡便法を使える場合があります。
定額法と定率法の計算式
平成19年4月1日以後に取得した資産は、主に次の2つの方法で計算します。
| 方法 | 毎年の償却費 | 特徴 |
|---|---|---|
| 定額法 | 取得価額 × 定額法の償却率 | 毎年ほぼ同じ額 |
| 定率法 | 期首の未償却残高 × 定率法の償却率 | 最初の年ほど多く、だんだん減る |
定率法では、計算した額が償却保証額(取得価額 × 保証率)を下回った年から、その年の期首未償却残高を改定取得価額として、改定償却率を掛けた同じ額に切り替えます。どちらの方法でも、最後は備忘価額として1円を残します。
個人事業主の場合、届出をしなければ法定の償却方法である定額法になります。定率法を使いたいときは、事業を始めた年の翌年3月15日までなどの期限内に、償却方法の届出書を税務署に出します。
計算例: 取得価額100万円・耐用年数10年
国税庁のタックスアンサーと同じ条件で、1年目から12か月使った場合を比べます。
| 年 | 定額法 | 定率法 |
|---|---|---|
| 1年目 | 100,000円 | 200,000円 |
| 2年目 | 100,000円 | 160,000円 |
| 3年目 | 100,000円 | 128,000円 |
| 7年目 | 100,000円 | 65,536円 |
| 10年目 | 99,999円 | 65,535円 |
耐用年数10年の定率法の償却率は0.200、保証率は0.06552なので、償却保証額は 65,520円 です。7年目は期首残高 × 0.200 がこの額を下回るため、改定償却率0.250に切り替わります。最終年はどちらも1円を残すため、1円少ない額になります。
年の途中で買ったときは月割
年の途中で使い始めた資産は、1年分の償却費を12で割り、その年に使った月数を掛けます。月の途中で使い始めた場合も、その月を1か月として数えます。例えば6月15日に使い始めたなら、12月までの7か月分です。
ポイントは、買った日ではなく事業に使い始めた月から数えることです。12月に買っても、使い始めたのが翌年1月なら、その年の償却費はありません。
計算例: 48万円のパソコンを7月から使う
取得価額48万円のパソコンを2026年7月から仕事に使い、定額法(耐用年数4年・償却率0.250)で償却します。1年分は 120,000円 で、1年目は7月から12月の6か月分です。
| 年 | 月数 | 償却費 | 年末の未償却残高 |
|---|---|---|---|
| 2026年 | 6か月 | 60,000円 | 420,000円 |
| 2027年 | 12か月 | 120,000円 | 300,000円 |
| 2028年 | 12か月 | 120,000円 | 180,000円 |
| 2029年 | 12か月 | 120,000円 | 60,000円 |
| 2030年 | 12か月 | 59,999円 | 1円 |
耐用年数は4年でも、1年目が半年分なので、償却は5年にわたります。
計算例: 300万円の車を事業に6割使う
300万円の普通自動車を2026年4月から使い、仕事と私用の割合が6対4の場合です。償却費そのものは資産全体で計算し、経費にできるのはその60%です。
| 年 | 定額法の償却費 | 定額法で経費にできる額 | 定率法の償却費 | 定率法で経費にできる額 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年(9か月) | 375,750円 | 225,450円 | 749,250円 | 449,550円 |
| 2027年 | 501,000円 | 300,600円 | 749,499円 | 449,699円 |
| 2028年 | 501,000円 | 300,600円 | 499,916円 | 299,949円 |
定率法は最初の2年で経費が大きく、利益が多い年に税金を抑えやすい方法です。そのかわり後半の経費は小さくなり、合計額はどちらの方法でも変わりません。私用分の40%は、償却しても経費にはなりません。
途中で売ったり処分したりしたとき
償却の途中で資産を売ったり捨てたりした年も、月割で計算します。1年分の償却費を12で割り、その年に業務に使っていた月数を掛けた額が、その年の償却費です。
例えば、先ほどの48万円のパソコンを2028年6月に処分したとします。2028年の償却費は、1年分 120,000円 の12分の6で 60,000円 です。残った帳簿価額の扱いは、売ったのか捨てたのかで変わります。売る前に税務署や税理士に確認しておくと安心です。
ツールは使い続ける前提で年ごとの表を作るので、途中で手放した年の分は、この月割で読み替えてください。
10万円・20万円・40万円の少額資産の扱い
取得価額が小さい資産には、通常の減価償却とは別の扱いがあります。
| 取得価額 | 扱い |
|---|---|
| 10万円未満 | 使い始めた年に全額を経費にする |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産として、3年間で3分の1ずつ経費にできる |
| 10万円以上40万円未満 | 一定の要件を満たす青色申告者は、年300万円までその年に全額を経費にできる |
40万円未満の特例は、令和8年4月1日以後に取得した資産が対象です。それより前に取得した資産は、30万円未満が基準でした。適用期限は令和11年3月31日までです。
取得価額に消費税を含めるかどうかは経理方式で決まります。税込経理なら税込の金額、税抜経理なら税抜の金額で判定します。免税事業者は税込経理です。
先ほどの48万円のパソコンは40万円以上なので、この特例は使えず通常の減価償却になります。38万円のパソコンなら、青色申告者は特例でその年に全額を経費にできる可能性があります。
ツールで計算するときの注意点
減価償却計算ツールでは、取得価額・使い始めた年月・耐用年数・償却方法・事業専用割合を入れると、年ごとの償却費と未償却残高を表にします。法人の場合は決算月も選べます。
償却費の1円未満の端数は、このツールでは切り捨てています。国税庁の確定申告書等作成コーナーは切り上げで処理するため、年によって1円ほど差が出ることがあります。自宅を事務所に使っている人は、家賃や光熱費を家事按分計算ツールで分けておくと、決算書づくりが楽になります。
よくある質問
取得価額には本体の代金以外も含めますか
購入した資産の取得価額は、購入代金に引取運賃・運送保険料・購入手数料などを足し、さらに事業に使い始めるためにかかった費用を加えた額です。パソコンなら設置や初期設定を業者に頼んだ費用、車なら納車にかかる費用などが当てはまるかを確かめてください。
事業専用割合はどう決めればよいですか
車なら走行距離、パソコンなら仕事で使う時間など、説明できる基準で決めます。記録を残しておくと、税務署に聞かれたときに説明しやすくなります。
減価償却 計算ツールを開く定額法・定率法で、年ごとの償却費と未償却残高を計算します。
出典
- 国税庁 No.2100 減価償却のあらまし
- 国税庁 No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー 耐用年数(器具・備品)
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー 耐用年数(車両・運搬具/工具)
2026年10月17日時点の制度にもとづいて書いています。計算例の数字は、このサイトのツールと同じ計算で出しています。