報酬の源泉徴収税額の計算方法と、振込額からの逆算
源泉徴収 逆算ツールを開く報酬・税込請求額・手取り額から、源泉徴収と振込額を計算します。
フリーランスのデザイナーやライターに仕事を頼んで報酬を払うとき、払う側が所得税と復興特別所得税を差し引いて国に納めることがあります。これが報酬の源泉徴収です。
この記事では、源泉徴収税額の計算式、100万円を超えたときの計算、請求書の消費税の扱い、手取りを決めてから報酬を逆算する方法を、計算例を使って説明します。
源泉徴収が必要になる報酬
個人に払う次のような報酬は、源泉徴収の対象です。
- 原稿料、講演料、デザイン料、翻訳料、イラストの制作料など
- 弁護士・税理士・司法書士など、特定の資格を持つ人への報酬
- モデルや外交員、芸能の出演料など
謝金・取材費・車代といった名前で払っていても、中身が原稿料や講演料と同じなら対象になります。物で払った場合も同じです。一方、払う側がホテルや交通機関に直接払った、通常必要な範囲の宿泊費や交通費は、報酬に含めなくてもよいとされています。
相手が法人の場合、原稿料やデザイン料は源泉徴収の対象になりません。相手が個人か法人かを最初に確かめてください。
源泉徴収税額の計算式
源泉徴収の対象になる金額によって、計算式が2段階に分かれます。
| 支払金額 | 源泉徴収税額 |
|---|---|
| 100万円以下 | 支払金額 × 10.21% |
| 100万円を超える | (支払金額 − 100万円) × 20.42% + 102,100円 |
計算した税額に1円未満の端数が出たら切り捨てます。10.21%は所得税10%に、その2.1%にあたる復興特別所得税を足した率です。
計算例: 報酬10万円の場合
税抜10万円の報酬に消費税10%を付けて請求され、消費税が請求書で分けて書かれているケースです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 報酬(税抜) | 100,000円 |
| 消費税 | 10,000円 |
| 源泉徴収税額 | 10,210円 |
| 差引振込額 | 99,790円 |
源泉徴収税額は 100,000円 × 10.21% = 10,210円 です。振込額は、報酬と消費税の合計 110,000円 から源泉徴収税額を引いた額になります。
計算例: 報酬150万円の場合
100万円を超える部分だけが20.42%になります。全体に20.42%を掛けるわけではない点に注意してください。
- 100万円までの部分: 1,000,000円 × 10.21% = 102,100円
- 超えた部分: 500,000円 × 20.42% = 102,100円
- 合計: 204,200円
税抜150万円に消費税10%を付けた請求なら、振込額は 1,650,000円 − 204,200円 = 1,445,800円 です。
100万円の境目は1回に払う金額で判定します。同じ相手に年間で100万円を超えても、1回あたりが100万円以下なら10.21%のままです。
消費税を含めて計算するか
源泉徴収の対象は、原則として消費税を含めた金額です。ただし、請求書などで報酬の額と消費税の額がはっきり分けて書かれていれば、税抜の報酬だけを対象にしてかまいません。インボイス制度が始まった後も、この扱いは変わっていません。
同じ10万円の報酬でも、どちらで計算するかで税額が変わります。
| 計算の対象 | 源泉徴収税額 | 差引振込額 |
|---|---|---|
| 税抜の報酬(消費税を分けて記載) | 10,210円 | 99,790円 |
| 税込の金額 | 11,231円 | 98,769円 |
請求書に消費税を分けて書いておけば、受け取る側は差し引かれる額が少なくなり、払う側も計算が単純になります。
振込額から報酬を逆算する
ちょうど10万円を振り込みたい、のように手取りを先に決めて報酬を逆算したいことがあります。報酬をRとすると、消費税10%を分けて書く場合の振込額は R × 1.1 − R × 0.1021 なので、およそ R = 振込額 ÷ 0.9979 です。
ただし消費税と源泉徴収税額はそれぞれ1円未満を切り捨てるため、割り算の答えをそのまま使うと1〜2円ずれることがあります。振込額を10万円にする場合は、税抜の報酬を 100,210円 にすると次のとおりぴったりになります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 報酬(税抜) | 100,210円 |
| 消費税 | 10,021円 |
| 源泉徴収税額 | 10,231円 |
| 差引振込額 | 100,000円 |
端数の関係でぴったりの報酬が見つからない金額もあります。源泉徴収 逆算ツールでは、希望の振込額のすぐ下とすぐ上の候補を両方表示します。
納付の期限
源泉徴収した税金は、報酬を払った月の翌月10日までに納めます。e-Taxで所得税徴収高計算書のデータを送って納めるか、納付書を添えて金融機関や税務署の窓口で納めます。
給与の源泉徴収には半年分をまとめて納める納期の特例がありますが、原稿料や講演料などの報酬は特例の対象外です。報酬を払った月ごとに、翌月10日までに納めてください。
受け取る側から見た源泉徴収
報酬を受け取るフリーランスにとって、差し引かれた源泉徴収税額は所得税の前払いです。確定申告で1年分の所得税を計算し、前払いした分と精算します。経費が多い年や所得が少ない年は、払いすぎた分が還付されることもあります。
請求書を作るときは、報酬・消費税・源泉徴収税額・差引請求額を分けて書いておくと、相手も入金額を確かめやすくなります。請求書・見積書・領収書 作成ツールでは、源泉徴収ありを選ぶとこの形の請求書を作れます。
よくある質問
給与を払っていない個人事業主も源泉徴収が必要ですか
給与の源泉徴収義務がない個人は、報酬から源泉徴収しなくてよいとされています。例えば、従業員を雇っていない個人や、常時2人以下のお手伝いさんなど家事使用人だけに給与を払っている個人です。会社員が確定申告のために税理士に払う報酬も、源泉徴収は要りません。従業員に給与を払っている個人事業主や法人は、源泉徴収が必要です。
源泉徴収を忘れて全額払ってしまったら
納める義務は払う側にあります。気づいた時点で、相手と差額の扱いを相談したうえで早めに納めてください。期限を過ぎると、不納付加算税や延滞税がかかることがあります。
源泉徴収 逆算ツールを開く報酬・税込請求額・手取り額から、源泉徴収と振込額を計算します。
出典
2026年10月17日時点の制度にもとづいて書いています。計算例の数字は、このサイトのツールと同じ計算で出しています。