家事按分の割合の決め方と、家賃・電気代・通信費の計算例

更新日: ・BizTools 運営事務局

家事按分 計算ツールを開く家賃・電気代・通信費などの経費にできる額を計算します。

自宅で仕事をしている個人事業主は、家賃や電気代、スマホ代の一部を経費にできます。生活と仕事の両方に使う支出から、仕事の分だけを取り出すことを家事按分といいます。

ただ、何割を経費にするかは自分で決めて、理由を説明できるようにしておく必要があります。この記事では、経費にできる条件と、面積・時間・日数を使った割合の出し方を、家賃・電気代・通信費の例で説明します。

家事按分で経費にできる条件

所得税では、生活のための支出は経費になりません。一方で、店舗兼住宅の家賃や光熱費のように、1つの支出が生活と仕事の両方にかかわるものがあります。これを家事関連費といいます。

家事関連費のうち経費にできるのは、業務に必要だった部分をはっきり区分できる場合の、その部分だけです。所得税法施行令では、次のように定めています。

  • 支出の主な部分が業務に必要で、その部分をはっきり区分できる場合は、その部分を経費にできる
  • 青色申告者は、取引の記録などで業務に直接必要だったことが明らかな部分を経費にできる

白色申告の人は、主な部分が業務のためという条件がつく分、青色申告より厳しく見られます。どちらの場合も、区分できる根拠が前提です。

生計を一にする家族に払う家賃は、経費になりません。親名義の家に住んで仕事をしている場合などは注意してください。

割合の出し方は3つ

按分の基準は、支出の性質に合ったものを選びます。

基準計算式向いている支出
面積比仕事に使う床面積 ÷ 住居全体の床面積家賃・固定資産税など
時間比1日の業務時間 × 年間業務日数 ÷ 年間の総時間電気代・インターネットなど
使用日数比年間の業務日数 ÷ 365日車・通信費など

時間比の分母は、1年の日数 × 24時間です。寝ている時間も含むので、割合は小さめに出ます。業務の時間帯に生活でも使う支出は、そのぶん控えめに見積もることになります。

計算例: 家賃を面積で按分する

家賃が月10万円、住居全体が50㎡で、そのうち10㎡の部屋を仕事専用に使っている場合です。

  • 割合: 10㎡ ÷ 50㎡ = 20%
  • 年間の家賃: 1,200,000円
  • 経費にできる額: 240,000円
  • 生活費として残る額: 960,000円

仕事部屋をプライベートでも使う場合は、面積比だけでは足りません。仕事に使う時間の割合も掛けるなど、実態に合わせて小さくします。リビングの一角を使っている場合は、机や棚が置いてある範囲を測って面積にすると説明しやすくなります。

計算例: 電気代を時間で按分する

電気代が月1万2,000円で、1日8時間・年240日を自宅で仕事をしている場合です。

  • 割合: 8時間 × 240日 ÷(365日 × 24時間)= 21.9%
  • 年間の電気代: 144,000円
  • 経費にできる額: 31,561円

エアコンやパソコンなど、仕事で特に電気を使う機器が多い人は、機器の消費電力と使用時間から見積もる方法もあります。どの方法でも、計算のメモを残しておくことが大切です。

計算例: 通信費は基準によって差が出る

月5,000円のインターネット料金を、2つの基準で計算して比べます。

基準割合経費にできる額(年)
使用日数比(年240日)65.8%39,452円
時間比(1日8時間・年240日)21.9%13,150円

同じ支出でも、基準によって経費の額が3倍ほど変わります。使用日数比は、仕事をした日はその日ずっと仕事に使った前提になるので、家族も同じ回線を使う場合は高すぎることがあります。スマホ代なら、通話明細で仕事の通話の割合を出す方法もあります。

どれが正しいという決まりはなく、実際の使い方に近い基準を選ぶのが基本です。毎年同じ基準を使い続けると、説明もしやすくなります。

計算例: 車の費用を走行距離で按分する

仕事と私用の両方で使う車は、走行距離で割合を出す方法がよく使われます。1年で1万km走り、そのうち仕事で6,000km走った場合、割合は60%です。

ガソリン代・駐車場代・保険料・車検代などを合わせて年18万円かかったとすると、次のようになります。

  • 年間の車の費用: 180,000円
  • 経費にできる額(60%): 108,000円
  • 生活費として残る額: 72,000円

ツールの割合は手入力で60と入れます。走行距離は、月初と月末のメーターを記録するか、行き先と距離を書いた運転記録を残すと根拠になります。車そのものの購入代金は、按分の前に減価償却で年ごとの額を出し、その額にも同じ割合を掛けます。

帳簿にはどうつけるか

家事按分の記帳には、主に2つのやり方があります。

  1. 支払いのたびに、仕事の分だけを経費として記帳する
  2. 1年分を経費として記帳しておき、年末に私用分をまとめて除く

どちらを選んでも、経費になる額は同じです。毎月の支払いが多い人は、年末にまとめて処理するほうが手間を減らせます。ただし、年末の処理を忘れると経費が多すぎる状態で申告してしまうので、決算の前にチェックしてください。計算に使った割合と根拠は、帳簿と一緒に保管します。

経費にしにくい支出と、別に考えるもの

次のような支出は、按分の対象にしにくいか、別の計算が必要です。

  • 水道代: 飲食店などを除き、仕事との関係を説明しにくい支出です
  • 家族で共有している支出: 家族の使用分を除いて考えます
  • 持ち家の場合: 家賃の代わりに、建物の減価償却費・固定資産税・住宅ローンの利息などを按分します。建物の減価償却は減価償却計算ツールで計算できます
  • 事業を始める前に払った費用: 開業費として別に扱うかを検討します

固定資産税は、業務に使う部分に限って経費になります。所得税や住民税は経費になりません。

根拠の残し方

税務調査で聞かれたときに説明できるよう、割合と一緒に根拠を残しておきます。

  • 面積比: 間取り図に仕事スペースを書き込み、測った面積のメモや写真を保管する
  • 時間比: 業務日報やカレンダー、パソコンの利用記録を残す
  • 通信費: 通話明細や料金プラン、業務用アカウントの利用記録を残す

引っ越しや働き方の変化で使い方が変わったら、その時点で割合を見直し、見直した日と理由も記録します。

ツールで計算するときの使い方

家事按分計算ツールでは、床面積や業務時間を入れると面積比・時間比・使用日数比を自動で出せます。科目ごとに金額と月額か年額かを選ぶと、経費にできる額と合計がまとまります。割合は手入力もできます。

計算例の家賃と電気代を両方入れると、経費にできる額の合計は 271,561円 です。計算した割合がそのまま認められるとは限らないので、迷うときは税務署や税理士に相談してください。

よくある質問

一律50%にしてはいけないのですか

法令に、家事按分の割合を一律に決めた数字はありません。問題になるのは、50%という数字の根拠を説明できない場合です。面積や時間などで計算した結果が50%なら、その計算を残しておけば説明できます。

割合は毎年変えてもよいですか

仕事の量や働く場所が変われば、割合も変わるのが自然です。在宅の日が増えた年に割合を上げるのは問題ありません。そのかわり、変えた理由と新しい計算の根拠を残してください。理由なく年ごとに割合が大きく動くと、説明を求められやすくなります。

賃貸の契約者が家族の場合はどうなりますか

生計を一にする家族に家賃を払う形は、経費になりません。家族名義の契約で、自分が家賃の一部を負担している場合は、契約の形と実際のお金の流れを整理したうえで税務署に確認してください。

家事按分 計算ツールを開く家賃・電気代・通信費などの経費にできる額を計算します。

出典

2026年10月17日時点の制度にもとづいて書いています。計算例の数字は、このサイトのツールと同じ計算で出しています。

この記事は一般的な解説です。個別の税務・労務の判断は、税理士・社会保険労務士・税務署・年金事務所などにご確認ください。