減価償却の確定申告の書き方 決算書の減価償却費の計算欄を埋める

更新日: ・BizTools 運営事務局

減価償却 計算ツールを開く定額法・定率法で、年ごとの償却費と未償却残高を計算します。

10万円以上のパソコンや車、事業用の設備を買った年は、確定申告で減価償却費を書きます。書く場所は、青色申告なら青色申告決算書の3ページ目、白色申告なら収支内訳書の2ページ目にある減価償却費の計算の欄です。

この記事では、その欄の列を左から順に説明し、パソコンを例に1年目と2年目の書き方を示します。減価償却費そのものの計算方法は減価償却の計算方法で説明しています。

個人事業主の減価償却は必ず計上する

法人は減価償却費を計上するかどうかをある程度選べますが、個人事業主は毎年決まった額を必ず経費にします。今年は利益が少ないから償却しない、ということはできません。計上し忘れた年の分を、翌年にまとめて経費にすることもできません。

そのため、資産を買った年だけでなく、耐用年数が終わるまで毎年この欄を書き続けます。前年の決算書を手元に置いておくと、2年目以降は数字を写すだけで済みます。

減価償却費の計算欄の列

欄は1つの資産を1行で書きます。左から順に次の列があります。

  • 減価償却資産の名称等。パソコン、普通自動車、店舗内装など、何の資産かがわかる名前を書きます。
  • 面積又は数量。台数などを書きます。
  • 取得年月。買って使い始めた年月です。
  • 取得価額(㋑)。買った金額です。税込経理なら税込、税抜経理なら税抜で書きます。
  • 償却の基礎になる金額(㋺)。定額法なら取得価額をそのまま書きます。定率法の2年目以降は前年末の未償却残高を書きます。
  • 償却方法。定額法か定率法かを書きます。税務署に届け出ていなければ定額法です。建物は定額法と決まっています。
  • 耐用年数と償却率又は改定償却率(㋩)。耐用年数表の年数と、それに対応する償却率を書きます。
  • 本年中の償却期間(㋥)。その年に使った月数を、分母を12として書きます。月の途中で買った場合もその月を1か月と数えます。
  • 本年分の普通償却費(㋭)。㋺×㋩×㋥で計算した金額です。
  • 特別償却費(㋬)と本年分の償却費合計(㋣)。特別償却をしない個人事業主は、㋭と同じ額を合計に書きます。
  • 事業専用割合(㋠)。家事と兼用している資産は事業に使う割合を書きます。事業だけで使うなら100%です。
  • 本年分の必要経費算入額(㋷)。㋣×㋠の金額で、これが経費になります。
  • 未償却残高(期末残高)。取得価額から、これまでの償却費合計を引いた残りです。

最後に㋷の合計を、決算書の損益計算書の減価償却費の欄へ写します。

記入例: 48万円のパソコンを7月から使う

2026年7月に48万円のパソコンを買い、事業に8割使ったとします。パソコンの耐用年数は4年、定額法の償却率は0.250です。

1年目の2026年分は次のように書きます。

  • 取得価額は480,000円、償却の基礎になる金額も480,000円です。
  • 償却方法は定額、耐用年数は4年、償却率は0.250です。
  • 本年中の償却期間は7月から12月の6か月なので、6/12と書きます。
  • 本年分の普通償却費は、480,000円×0.250×6/12で60,000円です。償却費合計も60,000円です。
  • 事業専用割合は80%なので、必要経費算入額は48,000円です。
  • 未償却残高は、480,000円から60,000円を引いた420,000円です。

未償却残高は事業専用割合を掛ける前の金額で引きます。経費になったのは48,000円でも、資産の価値は60,000円減ったものとして扱います。

2年目の2027年分は、本年中の償却期間が12/12になり、普通償却費は120,000円、必要経費算入額は96,000円、未償却残高は300,000円です。定額法なので償却の基礎になる金額は2年目以降も480,000円のままです。

一括償却資産の書き方

10万円以上20万円未満の資産は、一括償却資産として3年間で3分の1ずつ経費にできます。耐用年数や使った月数に関係なく、買った年から3年間、毎年同じ額を経費にします。

減価償却費の計算欄には、その年に買った一括償却資産をまとめて1行で書けます。償却率の欄に1/3と書き、取得価額の合計の3分の1をその年の償却費にします。年の途中で買っても月割りしないのが通常の減価償却との違いです。

少額減価償却資産の特例の書き方

青色申告をしている個人事業主は、一定の要件を満たせば、取得価額が40万円未満の資産をその年に全額経費にできます。2026年4月1日以後に取得した資産が対象で、それより前は30万円未満が基準でした。年間の合計は300万円までです。白色申告では使えません。

特例を使う資産も減価償却費の計算欄に書きます。本年分の普通償却費の欄に取得価額の全額を書き、摘要欄に措法28条の2と書いて特例を使ったことを示します。資産がたくさんある場合は、少額減価償却資産の合計として1行にまとめ、明細は別に保管しておく方法もあります。

取得価額が10万円未満の資産は減価償却をせず、消耗品費などとしてその年の経費にします。減価償却費の計算欄に書く必要はありません。

2年目以降の書き方

2年目以降は、前年の決算書の同じ行を写し、数字を1年分進めます。

  • 名称、取得年月、取得価額、償却方法、耐用年数、償却率は前年と同じです。
  • 定率法の場合は、償却の基礎になる金額に前年末の未償却残高を書きます。
  • 未償却残高が1円になるまで償却し、最後の年は1円を残して終わります。

年の途中で資産を売ったり処分したりした場合は、その月までの月数で償却し、残りの未償却残高は売った年の譲渡所得や事業所得の計算に使います。

確定申告書等作成コーナーやソフトで作る場合

国税庁の確定申告書等作成コーナーや会計ソフトでは、資産ごとに取得価額、取得年月、耐用年数を入れると、減価償却費の計算欄が自動で埋まります。翌年もデータを引き継げるので、書き写しの手間が減ります。

それでも、入力した数字が正しいかは自分で確かめる必要があります。当サイトの減価償却費計算ツールに取得価額、取得年月、耐用年数、事業専用割合を入れると、年ごとの償却費と経費算入額、期末の未償却残高の表が出ます。決算書の数字と比べて、月数や償却率の入れ間違いを見つけるのに使えます。

よくある質問

減価償却費の計算欄が足りないときはどうしますか

資産が多くて行が足りない場合は、同じ様式の別紙に続きを書いて添付します。一括償却資産や少額減価償却資産の特例を使う資産は、合計で1行にまとめられます。

中古のパソコンや車を買ったときの耐用年数は

中古資産は、法定の耐用年数のうち経過した年数をもとに、簡便法で短い耐用年数を計算できます。耐用年数を全部過ぎた中古資産は、法定耐用年数の20%が耐用年数です。2年未満になる場合は2年です。

開業前に買ったパソコンも減価償却できますか

開業前から持っていたパソコンを事業に使い始めた場合も、事業に使い始めた月から減価償却できます。ただし、それまで家庭で使っていた期間の分は価値が減ったものとして計算し直すので、買った金額のまま償却するわけではありません。

減価償却 計算ツールを開く定額法・定率法で、年ごとの償却費と未償却残高を計算します。

出典

2026年10月19日時点の制度にもとづいて書いています。計算例の数字は、このサイトのツールと同じ計算で出しています。

この記事は一般的な解説です。個別の税務・労務の判断は、税理士・社会保険労務士・税務署・年金事務所などにご確認ください。