粗利率と原価率の計算方法と、売価の逆算・損益分岐点の出し方

更新日: ・BizTools 運営事務局

利益率・損益分岐点 計算ツールを開く粗利率・原価率・売価逆算・損益分岐点・割引率を計算します。

商品の値段を決めるときや、今の売上で利益が出ているかを確かめるときに使うのが、粗利率・原価率・損益分岐点といった数字です。どれも式は単純ですが、分母を取り違えると、思っていたより利益が少ない値付けになってしまいます。

この記事では、粗利率と原価率の基本と、原価を基準にした率との違いを説明します。目標の粗利率から売価を逆算する方法、損益分岐点と安全余裕率、割引を重ねたときの計算も計算例で紹介します。

粗利・粗利率・原価率の計算式

粗利は売価から原価を引いた額です。決算書では売上総利益と呼ばれます。

  • 粗利 = 売価 − 原価
  • 粗利率 = 粗利 ÷ 売価
  • 原価率 = 原価 ÷ 売価

粗利率と原価率は、足すと必ず100%になります。売価10,000円・原価6,000円の商品なら、次のとおりです。

項目値
粗利4,000円
粗利率40%
原価率60%

原価率と粗利率は、同じことを裏と表から見た数字です。売上に対して、原価と粗利がそれぞれどれだけの割合を占めるかを表しています。

粗利率とマークアップ率・値入率の違い

原価を分母にした率もあります。原価にどれだけ上乗せしたかを見るマークアップ率です。

  • マークアップ率 = 粗利 ÷ 原価

同じ売価10,000円・原価6,000円の商品でも、マークアップ率は 66.7% になります。粗利率の 40% とは分母が違うので、数字がまったく変わります。

小売や流通では、仕入原価に上乗せする額を値入れ額と呼び、販売価格 = 仕入原価 + 値入れ額 として値段を決める方法がよく使われます。値入れ額は、営業経費や破損などのロス、目標の利益をまかなえるように見積もります。値入れ額を率で表したものが値入率ですが、分母を売価にするか原価にするかは会社によって違います。社内で話すときは、どちらの定義かを先にそろえてください。

値入れは値段を決める時点の計画です。実際には値引きや売れ残り、破損があるので、決算で出る粗利率は、値入れの時点の率より低くなることがあります。

目標の粗利率から売価を逆算する

粗利率40%を確保したいときは、原価を1から粗利率を引いた数で割って売価を出します。

  • 売価 = 原価 ÷ (1 − 目標粗利率)

原価6,000円で粗利率40%なら、売価は 10,000円、税込(10%)では 11,000円 です。

よくある間違いは、原価に1.4を掛けてしまうことです。6,000円 × 1.4 = 8,400円 で売ると、粗利率は 28.6% にとどまります。原価に40%を上乗せするのはマークアップ率40%の値付けで、粗利率40%とは違います。

送料・決済手数料・販売サイトの手数料を原価に含めるかどうかも、先に決めておく必要があります。含めずに粗利率を計算すると、実際に手元に残る利益はもっと少なくなります。

損益分岐点売上の計算

損益分岐点は、利益がちょうどゼロになる売上です。費用を、売上に比例して増える変動費と、売上に関係なくかかる固定費に分けて計算します。

  • 限界利益率 = 1 − 変動費率
  • 損益分岐点売上 = 固定費 ÷ 限界利益率
  • 目標利益に必要な売上 = (固定費 + 目標利益) ÷ 限界利益率

計算例: 1個1,000円の商品を仕入れ800円で売る店

中小機構のJ-Net21の例題と同じ条件です。店舗の家賃20万円と人件費10万円で、固定費は月30万円とします。変動費率は 800 ÷ 1,000 で80%です。

項目値
限界利益率20%
損益分岐点売上1,500,000円(1,500個)
利益15万円に必要な売上2,250,000円(2,250個)

売価を100円上げて1,100円にすると、変動費率が下がり、損益分岐点売上は 1,100,000円、個数では 1,000個まで下がります。限界利益率が低い商売ほど、少しの値上げや仕入れ値の見直しが大きく効きます。

安全余裕率で売上の余裕を見る

安全余裕率は、今の売上が損益分岐点をどれだけ上回っているかを示す率です。売上がどれくらい減るまで赤字にならないかの目安になります。

  • 安全余裕率 = (実際の売上 − 損益分岐点売上) ÷ 実際の売上

上の店の売上が月180万円なら、安全余裕率は 16.7% です。売上が損益分岐点を下回るとマイナスになり、赤字の状態を表します。

二重割引の計算と粗利への影響

20%引きのあとにさらに10%引きをすると、30%引きにはなりません。2回目の割引は、1回目で下がった後の価格にかかるからです。

項目値
定価10,000円
20%引きの後8,000円
さらに10%引きの後7,200円
実質の割引率28%

割引は粗利を大きく減らします。売価10,000円・原価6,000円の商品を20%引きで売ると、粗利率は 25% に下がり、粗利の額は 4,000円 から 2,000円 へ半分になります。粗利率40%の商品では、売価の20%を値引くと粗利の半分を失う計算です。

利益率・損益分岐点計算ツールでは、粗利率・売価の逆算・損益分岐点・割引率をタブで切り替えて計算できます。値付けを決めたら、請求書・見積書・領収書 作成で見積書を作るところまで続けて進められます。

よくある質問

変動費と固定費はどう分けますか

売上や販売数量に応じて増減する費用が変動費、売上がゼロでもかかる費用が固定費です。J-Net21の例題では、商品の仕入原価を変動費、店舗の賃借料と販売員の人件費を固定費に分けています。分けにくい費用は、実態に近いほうに寄せて、毎月同じ分け方を続けると比べやすくなります。

粗利率は税抜と税込のどちらで計算しますか

売価と原価を同じ基準にそろえれば、どちらでも率は変わりません。ただ、税込と税抜が混ざると数字がずれるので、税抜にそろえて計算するのが無難です。ツールの売価逆算も、税抜の売価を出してから税込を表示します。

粗利率が高ければもうかっていると言えますか

粗利率が高くても、家賃や人件費などの固定費をまかなえるだけの粗利の額がなければ赤字です。粗利率と合わせて、損益分岐点売上を超えているかを確かめてください。

利益率・損益分岐点 計算ツールを開く粗利率・原価率・売価逆算・損益分岐点・割引率を計算します。

出典

2026年10月17日時点の制度にもとづいて書いています。計算例の数字は、このサイトのツールと同じ計算で出しています。

この記事は一般的な解説です。個別の税務・労務の判断は、税理士・社会保険労務士・税務署・年金事務所などにご確認ください。