2割特例の消費税申告の書き方 付表6から申告書第一表まで
インボイス特例 比較ツールを開く本則・簡易課税・2割特例・3割特例の納付額を比較します。
2割特例は、売上にかかる消費税の8割を差し引いて、残りの2割だけを納める特例です。仕入や経費の消費税を集計しなくてよいので、申告書に書くのは売上の金額だけです。
個人事業者にとっては、2026年分の申告が2割特例を使える最後の年です。この記事では、2027年3月31日が期限の2026年分の消費税申告を、2割特例で書く手順を国税庁の手引きに沿って説明します。
2割特例を使える人
2割特例を使えるのは、インボイス発行事業者の登録をきっかけに免税事業者から課税事業者になった人です。一般課税と簡易課税のどちらを選んでいても、事前の届出なしに、申告書に2割特例を使う旨を書けば適用できます。
基準期間の課税売上高が1,000万円を超えている人など、インボイス登録と関係なく課税事業者になる人は使えません。個人事業者の基準期間は2年前の年なので、2026年分なら2024年の売上で判定します。
一度2割特例で申告した後、修正申告や更正の請求で2割特例をやめることは原則としてできません。逆に、2割特例を使わずに申告した後で2割特例に変えることもできません。申告する前に、本則課税や簡易課税と比べてどれが少ないかを確かめておきます。
用意するもの
2割特例の申告に使う数字は、1年分の課税売上だけです。
- 請求書や入金の明細から集計した、税率ごとの売上金額。給与収入は含めません。
- 事業用のパソコンや車などを売った代金。これも課税売上に入ります。
- 売上の返品、値引き、割戻しがあればその金額。
- 中間申告で納めた消費税があればその金額。
飲食料品の売上がある人は、8%の軽減税率の売上と10%の売上を分けて集計します。2割特例でも、税率ごとの区分は必要です。
付表6の書き方
2割特例で使うのは、付表6 税率別消費税額計算表です。正式には小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置を適用する課税期間用とされています。上から順に次の6段階で埋めます。
- 課税資産の譲渡等の対価の額(①)に、税率ごとの課税売上の税抜金額を書きます。税込で集計した場合は、10%分は100/110、8%分は100/108を掛けて税抜にします。
- 課税標準額(②)は、①の千円未満を切り捨てた金額です。
- 課税標準額に対する消費税額(③)は、②に消費税の国税分の税率を掛けます。10%分は7.8%、8%分は6.24%です。
- 売上対価の返還等に係る消費税額(④)は、返品や値引きがあるときだけ書きます。売上から直接引いて集計していれば不要です。
- 控除対象仕入税額の計算の基礎となる消費税額(⑤)は、③から④を引いた額です。
- 特別控除税額(⑥)は、⑤に80%を掛けた額です。これが申告書第一表の控除対象仕入税額になります。
金額の計算では1円未満の端数を切り捨てます。年の途中でインボイス登録をした人は、1年分ではなく登録した日からの売上で計算します。
申告書第一表と第二表への転記
付表6の数字を、消費税及び地方消費税の申告書の第一表と第二表へ写します。付表6の欄の横に、どの欄へ写すかが書いてあるので、その指示どおりに転記します。
- 付表6の①から④は、税率ごとの金額と合計を、欄の横の指示どおりに第二表へ写します。
- 第二表の課税標準額と消費税額の合計は、第一表の課税標準額①欄と消費税額②欄へ移ります。
- 付表6の⑥の特別控除税額は、第一表の控除対象仕入税額④欄へ写します。
- 第一表の付記事項にある税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)の欄に○を付けます。
ここに○が無いと、2割特例を使った申告として扱われません。書面で出す場合は特に見落としやすい欄です。
差引税額から中間納付税額を引いた額が国の消費税の納付税額です。地方消費税は、国の消費税の差引税額に22/78を掛けて計算し、合わせて納めます。結果として、10%の売上だけなら、納める額は地方消費税を含めて税抜売上のおよそ2%、税込売上の約1.8%になります。
確定申告書等作成コーナーで作る方法
個人事業者は、国税庁の確定申告書等作成コーナーで消費税の申告書を作れます。売上の金額を入れて2割特例を選ぶと、付表6と申告書第一表・第二表が自動で計算され、そのままe-Taxで送れます。
所得税の確定申告と同じ時期に作る人が多いので、所得税の申告書を作った後に続けて消費税の申告書を作ると、売上の数字を同じ帳簿から写せます。
期限と納付
個人事業者の消費税の確定申告と納付の期限は、翌年の3月31日です。2026年分は2027年3月31日までに申告して納めます。所得税の3月15日より遅いですが、振替納税を使う場合は事前の手続きが必要です。
2027年分からは3割特例か簡易課税
2割特例は2026年分で終わります。2027年分と2028年分は、個人事業者だけが使える3割特例を選べます。3割特例は売上の消費税の3割を納める方式で、2割特例と同じく申告書に付記して使います。
簡易課税を選ぶ場合、2割特例を使った課税期間の翌年から簡易課税にするなら、その年の12月31日までに消費税簡易課税制度選択届出書を出せばよい特例があります。卸売業のようにみなし仕入率が高い業種は、3割特例より簡易課税のほうが少なくなることがあります。
当サイトのインボイス特例比較ツールに、税率ごとの売上と経費を入れると、本則課税、簡易課税、2割特例、3割特例の納付額が並んで表示されます。2026年分の申告の前に2割特例が最安か確かめ、2027年分からどの方式にするかもあわせて比べられます。
よくある質問
2割特例でも経費の領収書やインボイスの保存は必要ですか
2割特例の計算では仕入の消費税を使わないので、消費税の申告のために仕入のインボイスを集計する必要はありません。ただし、所得税の経費として帳簿と領収書の保存は必要です。
年の途中で登録した場合、登録前の売上はどうなりますか
登録した日より前は免税事業者なので、その期間の売上には消費税の申告が要りません。付表6には登録した日以後の売上だけを書きます。
2割特例と簡易課税、どちらを使うか毎年選べますか
2割特例は申告ごとに選べます。簡易課税の届出を出していても、2割特例のほうが少なければ、申告書に付記して2割特例で申告できます。
インボイス特例 比較ツールを開く本則・簡易課税・2割特例・3割特例の納付額を比較します。
出典
- 国税庁 2割特例用 消費税及び地方消費税の確定申告の手引き(PDF)
- 国税庁 付表6 税率別消費税額計算表(PDF)
- 国税庁 消費税及び地方消費税の申告書・添付書類等
- 国税庁 インボイス制度 令和8年度税制改正特集
2026年10月19日時点の制度にもとづいて書いています。計算例の数字は、このサイトのツールと同じ計算で出しています。