生命保険料控除の計算方法と、令和8年分の保険料控除申告書の書き方
年末調整 還付金 計算ツールを開く令和8年分の基礎控除104万円に対応し、還付額の目安を計算します。
生命保険料控除は、1年間に払った生命保険料の一部をその年の所得から差し引ける制度です。会社員は年末調整で保険料控除申告書を出すと、12月か1月の給与で精算されます。
控除額は払った保険料そのものではなく、保険料の額に応じた計算式で決まります。令和8年分は、23歳未満の扶養親族がいる人の計算式が新しく加わりました。この記事では、控除額の計算式と計算例、住民税の控除額、保険料控除申告書の書き方を、国税庁の資料に沿って説明します。
生命保険料控除は3つの枠の合計で最高12万円
生命保険料控除の対象になる保険料は、次の3つに分かれます。
- 一般の生命保険料: 死亡保障の保険など
- 介護医療保険料: 医療保険・がん保険・介護保険など
- 個人年金保険料: 一定の要件を満たす個人年金保険
さらに、平成24年1月1日以後に結んだ契約は新契約、平成23年12月31日以前に結んだ契約は旧契約として、別の計算式を使います。介護医療保険料の枠は新契約にしかなく、旧契約の医療保険の保険料は一般の生命保険料に入ります。
枠ごとに控除額を出し、その合計が生命保険料控除の額です。合計が12万円を超えるときは12万円が上限です。新個人年金保険料を一般の枠に入れるなど、保険料の区分を他の枠に振り替えることはできません。
計算に使う保険料は、その年に実際に払った額から、受け取った剰余金や割戻金(配当金)を引いた額です。保険会社から届く生命保険料控除証明書には、この額と新旧の区分が書かれています。
新契約の控除額の計算式
新契約の一般の生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料は、それぞれ次の式で計算します(国税庁の資料では計算式Ⅰ)。
| 年間の支払保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 20,000円以下 | 支払った全額 |
| 20,000円超 40,000円以下 | 支払保険料×1/2+10,000円 |
| 40,000円超 80,000円以下 | 支払保険料×1/4+20,000円 |
| 80,000円超 | 一律40,000円 |
1つの枠の上限は4万円なので、新契約だけなら3つの枠を全部使って12万円になります。年8万円を超えて払っても、その枠の控除額は増えません。計算した控除額に1円未満の端数が出たときは切り上げます。
23歳未満の扶養親族がいる場合の特例(令和8年分と令和9年分)
令和8年分と令和9年分は、23歳未満の扶養親族がいる人の新契約の一般の生命保険料に、次の式(計算式Ⅱ)を使います。
| 年間の新生命保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 30,000円以下 | 支払った全額 |
| 30,000円超 60,000円以下 | 支払保険料×1/2+15,000円 |
| 60,000円超 120,000円以下 | 支払保険料×1/4+30,000円 |
| 120,000円超 | 一律60,000円 |
一般の枠の上限が4万円から6万円に上がります。介護医療保険料と個人年金保険料の枠は4万円のまま、3つの枠の合計の上限も12万円のままです。もとは令和8年分だけの措置でしたが、令和8年度の税制改正で1年延長されました。
令和8年分の対象になる扶養親族は、平成16年1月2日以後に生まれ、合計所得金額が62万円以下の人です。扶養控除の対象にならない16歳未満の子も含みます。国税庁の年末調整Q&Aでは、共働きの夫婦の間に23歳未満の子が1人いる場合、夫婦の両方がこの特例を使えるとされています。
旧契約の控除額と、新旧両方あるとき
旧契約の一般の生命保険料と旧個人年金保険料は、次の式(計算式Ⅲ)で計算します。
| 年間の支払保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 25,000円以下 | 支払った全額 |
| 25,000円超 50,000円以下 | 支払保険料×1/2+12,500円 |
| 50,000円超 100,000円以下 | 支払保険料×1/4+25,000円 |
| 100,000円超 | 一律50,000円 |
旧契約は1つの枠の上限が5万円なので、新契約より大きくなります。旧契約の一般と個人年金でそれぞれ5万円、新契約の介護医療で4万円とっても、合計の上限は12万円です。
同じ枠に新契約と旧契約の両方があるときは、次のうち大きいほうを選びます。
- 旧契約だけで計算した額(最高5万円)
- 新契約で計算した額と旧契約で計算した額の合計(最高4万円。23歳未満の扶養親族の特例を使う一般の枠は最高6万円)
旧契約の保険料が年6万円を超えると、旧契約だけで4万円を超えるので、1の方が大きくなります。例えば一般の枠で新契約5万円・旧契約3万円を払った場合、新契約は32,500円、旧契約は27,500円で、合計60,000円が上限の4万円で止まります。23歳未満の扶養親族がいれば新契約は40,000円になり、合計67,500円が上限の6万円で止まるので、一般の枠の控除額は6万円です。
計算例: 生命保険8万円と医療保険3万円の場合
新契約の死亡保障の保険に年8万円、新契約の医療保険に年3万円を払った人の控除額です。
| 枠 | 支払保険料 | 計算 | 控除額 |
|---|---|---|---|
| 一般の生命保険料 | 80,000円 | 80,000円×1/4+20,000円 | 40,000円 |
| 介護医療保険料 | 30,000円 | 30,000円×1/2+10,000円 | 25,000円 |
| 合計 | 110,000円 | 65,000円 |
この人に23歳未満の扶養親族がいる場合は、一般の枠を計算式Ⅱで計算します。80,000円×1/4+30,000円=50,000円になり、合計は75,000円です。
国税庁の保険料控除申告書の記載例でも、23歳未満の扶養親族がいる人の新生命保険料8万円は、80,000円×1/4+30,000円=50,000円と計算されています。
住民税の控除額は別の式で、合計7万円まで
住民税(市町村民税と道府県民税)にも生命保険料控除がありますが、計算式と上限が所得税と違います。所得税の控除額をそのまま使うことはできません。
新契約の場合の住民税の控除額は次のとおりです。1つの枠の上限は28,000円です。
| 年間の支払保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 12,000円以下 | 支払った全額 |
| 12,000円超 32,000円以下 | 支払保険料×1/2+6,000円 |
| 32,000円超 56,000円以下 | 支払保険料×1/4+14,000円 |
| 56,000円超 | 一律28,000円 |
旧契約は次の式で、1つの枠の上限は35,000円です。新旧両方の保険料で控除を受ける枠は、合わせて28,000円が上限です。
| 年間の支払保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 15,000円以下 | 支払った全額 |
| 15,000円超 40,000円以下 | 支払保険料×1/2+7,500円 |
| 40,000円超 70,000円以下 | 支払保険料×1/4+17,500円 |
| 70,000円超 | 一律35,000円 |
3つの枠の合計の上限は7万円です。上の計算例(生命保険8万円・医療保険3万円)では、一般の枠が28,000円、介護医療の枠が30,000円×1/2+6,000円=21,000円で、住民税の控除額は合計49,000円です。
23歳未満の扶養親族がいる場合の特例は所得税だけの制度です。令和7年度の税制改正大綱でも、個人住民税で所得税に合わせて対応する項目に、この生命保険料控除の見直しは入っていません。住民税の計算は、子の有無にかかわらず上の式のままです。
年末調整で保険料控除申告書を出せば、勤務先が出す給与支払報告書を通じて住民税の計算にも反映されます。住民税のために別の申告をする必要はありません。
保険料控除申告書の書き方
令和8年分の給与所得者の保険料控除申告書は、生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除の4つの欄に分かれています。社会保険料と小規模企業共済等掛金は、給与から天引きされた分は書かず、自分で直接払った分だけを書きます。生命保険料と地震保険料は、勤務先の団体保険で給与から引かれている分も書きます。団体保険の分は、勤務先で金額を確認できれば証明書の添付がいりません。
生命保険料控除の欄
保険会社から届いた控除証明書を見ながら、1契約ごとに次の項目を書きます。
- 保険会社等の名称、保険等の種類、保険期間
- 保険等の契約者の氏名、保険金等の受取人の氏名
- 新・旧の区分(証明書に書かれている適用制度のとおり)
- あなたが本年中に支払った保険料等の金額(剰余金や割戻金を引いた後の額)
受取人は、あなた本人か配偶者などの親族である必要があります。個人年金保険料は、受取人があなたか配偶者の契約だけが対象です。
一般の生命保険の欄では、新保険料の合計をA、旧保険料の合計をBに書き、①から⑤の欄で控除額を出します。23歳未満の扶養親族がいなければ①(計算式Ⅰ)、いれば②(計算式Ⅱ)を使い、③が旧保険料の控除額です。最後に、④と③の大きいほう、または⑤を㋑の欄に書きます。介護医療保険料は㋺、個人年金保険料は㋩の欄で同じように計算し、㋑・㋺・㋩の合計(最高12万円)が生命保険料控除額です。
23歳未満の扶養親族の欄
23歳未満の扶養親族の特例を使う人は、生命保険の欄の下にある年齢23歳未満の扶養親族の欄に、その扶養親族の氏名・個人番号・生年月日・あなたとの続柄・本年中の合計所得金額の見積額を書きます。対象の子が何人いても、書くのは1人だけです。
地震保険料控除の欄
地震保険料は、支払った額の全額が控除額で、上限は5万円です。平成18年12月31日までに結んだ一定の長期損害保険契約(旧長期損害保険料)は、1万円以下なら全額、1万円超2万円以下なら支払額×1/2+5,000円、2万円超なら15,000円です。両方あるときは合計して、上限は5万円です。
保険の対象は、あなたか生計を一にする親族が持っていて常に住んでいる家屋や、生活に必要な家財に限られます。
社会保険料控除の欄
給与から天引きされた健康保険料や厚生年金保険料は書きません。勤務先が把握しているためです。書くのは、あなたが直接払った国民年金保険料や国民健康保険料などで、生計を一にする家族の分を払った場合も含みます。例えば、学生の子の国民年金保険料を親が払った場合は、親の申告書に書けます。
小規模企業共済等掛金控除の欄
iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金を自分の口座から払っている人は、確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金の行に書きます。給与から天引きされている掛金は書きません。
証明書の添付
申告書には、保険会社などが発行した控除証明書を添付します。旧契約の生命保険料で、1契約の年間保険料が9,000円以下のものだけは添付がいりません。地震保険料、国民年金保険料、直接払ったiDeCoの掛金は、金額にかかわらず証明書が必要です。
証明書の再発行を頼んでいて間に合わないときは、翌年1月末までに出すことを条件に、控除を入れて年末調整をしてもらえます。
控除額を入れて還付額を確かめる
生命保険料控除で所得税がどれだけ減るかは、課税所得にかかる税率で決まります。令和8年分の年末調整で還付が大きくなる理由と同じ、月給30万円・賞与なし・扶養親族なしの会社員で比べると次のとおりです。
| 生命保険料控除 | 1年間の税額 | 還付見込み |
|---|---|---|
| なし | 44,400円 | 31,680円 |
| 65,000円 | 41,100円 | 34,980円 |
| 120,000円(上限) | 38,300円 | 37,780円 |
この人の課税所得は195万円以下で税率5%なので、控除65,000円で減る所得税は、復興特別所得税を含めて3,300円です。課税所得が多く税率が10%や20%の人は、同じ控除額でも減る税額が2倍、4倍になります。
住民税の所得割の標準税率は10%なので、住民税の控除額49,000円なら、翌年度の住民税がおよそ4,900円下がります。
年末調整 還付金 計算の生命保険料控除額の欄には、支払った保険料ではなく、この記事の式で出した控除額を入れてください。地震保険料控除額の欄も同じです。
よくある質問
妻名義の保険料を夫の控除にできますか
契約者が誰かではなく、実際に保険料を払った人が控除を受けます。夫が妻名義の契約の保険料を払っていることが明らかなら、夫の控除の対象です。ただし受取人が夫・妻・親族のいずれかである必要があります。夫婦で同じ保険料を両方の申告書に書くことはできません。
どんな保険でも控除の対象になりますか
保険金や給付金の受取人の全員が、あなたか配偶者などの親族である契約に限られます。保険期間が5年未満の生命保険などには、控除の対象にならないものもあります。迷ったときは、保険会社の控除証明書が届いているか、新・旧のどの区分で書かれているかを確かめてください。
年末調整で書き忘れたら
翌年1月末までなら、勤務先に申し出て年末調整をやり直してもらえることがあります。間に合わないときは、自分で確定申告をして控除を受けます。申告書のほかの欄の変更点は令和8年分の年末調整の書き方にまとめています。
ふるさと納税の上限額に影響しますか
生命保険料控除は住民税の課税所得も減らすので、ふるさと納税の上限額がわずかに下がります。目安はふるさと納税の上限額の計算式で確認できます。
年末調整 還付金 計算ツールを開く令和8年分の基礎控除104万円に対応し、還付額の目安を計算します。
出典
- 国税庁 No.1140 生命保険料控除
- 国税庁 No.1145 地震保険料控除
- 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた 保険料控除申告書の受理と内容の確認(PDF)
- 国税庁 令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書の記載例(PDF)
- 国税庁 令和8年分 年末調整Q&A(PDF)
- 財務省 令和7年度税制改正の大綱(PDF)
- 財務省 令和8年度税制改正の大綱(PDF)
- 東大阪市 生命保険料控除制度(個人住民税)
2026年10月21日時点の制度にもとづいて書いています。計算例の数字は、このサイトのツールと同じ計算で出しています。