中途入社・年の途中で退職した人の年末調整と、前職の源泉徴収票の扱い

更新日: ・BizTools 運営事務局

年末調整 還付金 計算ツールを開く令和8年分の基礎控除104万円に対応し、還付額の目安を計算します。

年の途中で会社を移った人の年末調整は、今の会社の給与だけでは計算しません。同じ年に前の会社から受け取った給与と、そこで引かれた所得税も合わせて1年分の税額を出します。そのために必要なのが、前の会社が出す給与所得の源泉徴収票です。

この記事では、中途入社した人の年末調整の流れと、前職の源泉徴収票が手元にないときの対応を国税庁の資料に沿って説明します。年の途中で退職してそのまま年末を迎えた人の扱いも、あわせてまとめました。

中途入社した人は前職の給与を合算して年末調整する

年末調整の対象は、1年を通じて勤務している人だけではありません。年の途中で就職し、年末まで勤務している人も対象です。

その年に前の会社から給与を受け取っていた場合は、前の会社の分も含めて年末調整をします。合算するのは次の3つです。

  • 前の会社で支払われた給与の金額
  • その給与から源泉徴収された所得税の額
  • その給与から差し引かれた社会保険料の額

これらは、前の会社から受け取った源泉徴収票で確認します。今の会社は、前職分の給与と税額を自社の分に足して1年分の給与総額と源泉徴収税額を出し、そこから年税額を計算します。

合算の対象になるのは、前の会社に扶養控除等申告書を出していた給与です。副業先など、扶養控除等申告書を出していない勤務先の給与(源泉徴収税額表の乙欄で税額を引かれた給与)は、今の会社の年末調整には入りません。その分は自分で確定申告をします。

基礎控除は入社した月に関係なく全額

4月入社でも10月入社でも、基礎控除や扶養控除は月割りになりません。国税庁は、所得のあった月数などに応じて按分せず、控除の全額が認められるとしています。令和8年分の基礎控除は、合計所得金額489万円以下なら104万円です。

計算例: 7月入社で前職の給与が150万円の場合

1月から6月まで前の会社で月給25万円、7月から12月まで今の会社で月給30万円を受け取った人で計算します。東京都の協会けんぽに加入している40歳未満の会社員で、扶養親族なし、賞与なしとします。毎月の社会保険料と源泉徴収税額は、社会保険料・手取り計算ツールと同じ計算で出した概算です。

項目前の会社(1〜6月)今の会社(7〜12月)合計
給与1,500,000円1,800,000円3,300,000円
社会保険料228,864円264,420円493,284円
源泉徴収された所得税28,560円38,040円66,600円

合計の欄の数字で、1年分の税額を計算します。

項目金額
給与の総額3,300,000円
給与所得控除1,070,000円
給与所得2,230,000円
社会保険料控除493,284円
基礎控除1,040,000円
課税所得696,000円
1年間の税額35,500円
源泉徴収された税額の合計66,600円
還付見込み31,100円

課税所得696,000円に税率5%を掛けた34,800円に102.1%を掛け、100円未満を切り捨てたのが1年間の税額です。前の会社と今の会社で引かれた税額の合計のほうが多いので、差額が還付されます。

前職分を入れないと税額が少なく出る

もし今の会社の給与180万円だけで計算すると、前の会社の150万円が抜け落ちるので、1年間の税額は0円になります。合算して計算した正しい税額は35,500円なので、前職分を抜いて精算すると、後から確定申告で不足分を納めることになります。

前職の源泉徴収票がもらえないとき

前の会社は、年の途中で退職した人に、退職の日から1か月以内に源泉徴収票を交付しなければなりません。国税庁は、前職分の給与と税額を源泉徴収票などで確認できるまでは年末調整を見合わせるよう勤務先に案内しています。確認できないまま年末を迎えると、今の会社では年末調整ができず、自分で確定申告をして精算します。

手元にない場合は、次の順番で動きます。

  1. 前の会社に交付を求める。事務手続きの途中のこともあるので、まずは時期を問い合わせる
  2. 一度受け取って失くした場合は、前の会社に再発行を頼む
  3. 退職から1か月を過ぎても交付されないときは、税務署に源泉徴収票不交付の届出書を出す

不交付の届出書には、給与明細が残っていればその写しと、勤務先に交付を求めたことが分かる書類を付けます。電話や面談で求めた場合も、いつ・どこで・誰に・どの方法で求め、相手がどう答えたかをメモに残しておきます。届出を受けた税務署は勤務先に交付するよう行政指導をしますが、法律上の拘束力はないため、届出の後も自分で勤務先に求め続ける必要があります。

業務委託など雇用契約でない報酬は給与ではないので、そもそも給与所得の源泉徴収票は発行されません。

年の途中で退職した人は原則として年末調整の対象外

年の途中で退職して、その年のうちに再就職しなかった人は、原則として年末調整を受けません。例外として、退職した会社で年末調整をするのは次の人です。

  • 12月中に支給期の来る給与を受け取った後に退職した人
  • パートタイマーなどで、退職した年の給与の総額が136万円以下の人(退職後、その年に他の勤務先から給与を受け取る見込みがある人を除く)
  • 死亡により退職した人
  • 著しい心身の障害のため退職し、その年中に再就職できないと見込まれる人
  • 海外の支店へ転勤したことなどにより非居住者になった人

12月の給与を受け取ってから退職する人は、最後の会社で年末調整が済みます。11月末で退職して12月に給与がない人は、この例外に当たりません。パートの136万円は、令和8年分の年末調整のしかたに載っている金額です。

退職したまま年末を迎えた人は確定申告で取り戻す

年末調整を受けていない人は、毎月の給与から概算で引かれた所得税がそのままになっています。年の前半で退職した人ほど、1年分の給与が少ないぶん税額も小さくなり、引かれすぎになっていることが多くなります。

例えば、1月から6月まで月給25万円で働いて退職し、その年は再就職しなかった場合です。

項目金額
給与の総額1,500,000円
給与所得760,000円
1年間の税額0円
源泉徴収された税額28,560円
還付見込み28,560円

給与所得760,000円が基礎控除104万円より小さいので、1年間の税額は0円です。6か月分の源泉徴収税額がすべて戻る計算になります。退職後に自分で払った国民年金保険料や国民健康保険料があれば、社会保険料控除として差し引けます。

この還付は、退職した年の翌年1月1日から5年間、確定申告書(還付申告書)を出して受けられます。提出先は住所地の所轄税務署で、国税庁の確定申告書等作成コーナーでも作れます。前の会社の源泉徴収票の金額を書き写すので、退職時に受け取った票は捨てずに保管しておいてください。

入社した会社に出すもの

中途入社した人が今の会社に出すものは、通年勤務の人と同じ申告書に、前職の源泉徴収票が加わります。

  • 前の会社の給与所得の源泉徴収票(前職が複数あれば全部)
  • 扶養控除等申告書
  • 基礎控除申告書・配偶者控除等申告書など
  • 保険料控除申告書(生命保険料や、自分で払った国民年金保険料などがある場合)

前職を辞めてから入社するまでの間に国民年金保険料を自分で払った場合は、保険料控除申告書の社会保険料控除の欄に書き、控除証明書を付けます。前の会社の給与から引かれた社会保険料は、源泉徴収票の金額で合算されるので、申告書に書く必要はありません。申告書ごとの書き方は令和8年分の年末調整の書き方で説明しています。

年末調整の後に今の会社から受け取る源泉徴収票は、支払金額に前職分も含まれた1年分の金額になります。摘要欄に前の会社の名称や退職日、前職の給与と税額が書かれているかを確かめておくと、合算漏れに気づけます。

ツールで前職分を合算して計算するには

年末調整 還付金計算ツールで中途入社の人が計算するときは、前の会社の源泉徴収票と今の会社の給与明細の数字を足して入れます。

  • 年間の給与総額: 前の会社の源泉徴収票の支払金額+今の会社で12月までに受け取る給与の合計
  • 源泉徴収済み所得税: 前の会社の源泉徴収票の源泉徴収税額+今の会社の給与から引かれた所得税の合計
  • 社会保険料合計: 前の会社の源泉徴収票の社会保険料等の金額+今の会社の給与から引かれた社会保険料+自分で払った国民年金保険料など

令和8年分は基礎控除などの改正が11月までの源泉徴収に反映されていないため、通年勤務の人も含めて還付が大きくなりやすい年です。理由は令和8年分の年末調整で還付が大きくなる理由で説明しています。

よくある質問

前職の源泉徴収票を出さなかったらどうなりますか

今の会社は年末調整をせず、自分で確定申告をすることになります。前職分を除いて年末調整をしてしまうと、税額が少なく出て、後から不足分を納めることになります。

年の途中で退職し、年内に別の会社に入る予定です

新しい会社で12月に年末調整を受けるときに、退職した会社の源泉徴収票を出します。退職から1か月以内に届くはずなので、入社までに手元にあるか確認しておくと手続きが止まりません。

3月の確定申告の時期を過ぎても還付は受けられますか

還付を受けるための申告は、翌年1月1日から5年間出せます。期限を過ぎても受け取れますが、源泉徴収票などがそろった時点で早めに出すことを国税庁も勧めています。

年末調整 還付金 計算ツールを開く令和8年分の基礎控除104万円に対応し、還付額の目安を計算します。

出典

2026年10月21日時点の制度にもとづいて書いています。計算例の数字は、このサイトのツールと同じ計算で出しています。

この記事は一般的な解説です。個別の税務・労務の判断は、税理士・社会保険労務士・税務署・年金事務所などにご確認ください。