2026年度の雇用保険料率と、給与から引く雇用保険料の計算方法
雇用保険料 計算ツールを開く2026年度の料率で、労働者負担と事業主負担を計算します。
雇用保険料は、従業員に払う賃金に料率を掛けて計算し、会社と従業員がそれぞれ負担します。従業員の負担分は、会社が毎月の給与や賞与から差し引きます。
この記事では、2026年4月から適用されている2026年度の料率と、給与明細の雇用保険料の出し方を説明します。賃金総額に含めるものの範囲や1円未満の端数の処理も、計算例を使って確かめます。
2026年度(令和8年度)の雇用保険料率
2026年4月1日から2027年3月31日までの料率は次のとおりです。いずれも賃金1,000円あたりの率で、前の年度より労働者・事業主ともに0.5ずつ下がりました。
| 事業の種類 | 労働者負担 | 事業主負担 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 一般の事業 | 5/1,000 | 8.5/1,000 | 13.5/1,000 |
| 農林水産・清酒製造の事業 | 6/1,000 | 9.5/1,000 | 15.5/1,000 |
| 建設の事業 | 6/1,000 | 10.5/1,000 | 16.5/1,000 |
事業主負担が労働者負担より多いのは、事業主だけが負担する雇用保険二事業の分が上乗せされているためです。二事業の率は一般の事業と農林水産・清酒製造の事業が3.5/1,000、建設の事業が4.5/1,000です。
農林水産の事業でも、園芸サービス・牛馬の育成・酪農・養鶏・養豚・内水面養殖などは一般の事業の率になります。自社の区分がわからないときは労働局に確かめてください。
雇用保険料の計算式と計算例
毎月の給与から差し引く額は、次の式で出します。
- 労働者負担 = その月の賃金総額 × 労働者負担率
- 事業主負担 = その月の賃金総額 × 事業主負担率
健康保険や厚生年金のように標準報酬月額の等級表を使うことはありません。その月に実際に払う賃金の総額に、そのまま率を掛けます。
計算例: 一般の事業で月30万円の場合
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 賃金総額 | 300,000円 |
| 労働者負担(5/1,000) | 1,500円 |
| 事業主負担(8.5/1,000) | 2,550円 |
| 合計 | 4,050円 |
給与明細の雇用保険料の欄に載るのは、労働者負担の 1,500円 です。
計算例: 建設の事業で月30万円の場合
同じ賃金でも、建設の事業は率が高くなります。労働者負担は 1,800円、事業主負担は 3,150円 です。
賃金総額に含めるもの・含めないもの
賃金総額は、税金や社会保険料を引く前の支払総額です。名称にかかわらず、労働の対償として払うものは原則として含めます。労働局の早見表では、次のように分けられています。
含めるもの
- 基本給、残業手当・深夜手当・休日手当
- 扶養手当・家族手当・役職手当・住宅手当・地域手当・技能手当など
- 賞与
- 通勤手当、定期券・回数券(所得税で非課税の分も含む)
- 労働基準法26条の休業手当
含めないもの
- 退職を理由に払う退職金
- 結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金など
- 実費弁償にあたる出張旅費・宿泊費
- 業務災害・通勤災害の休業補償費、解雇予告手当
つまずきやすいのは通勤手当です。所得税では一定額まで非課税ですが、雇用保険では賃金総額に含めます。
計算例: 手当込みの月給
基本給24万円、残業手当3万円、通勤手当1.5万円の人の賃金総額は 285,000円 です。労働者負担は 1,425円 になります。通勤手当を除いて計算すると 1,350円 となり、控除が少なすぎることになります。
賞与から引く雇用保険料
賞与も賃金総額に含まれるので、支給額に同じ率を掛けます。一般の事業で賞与50万円なら、労働者負担は 2,500円、事業主負担は 4,250円 です。
1円未満の端数処理(50銭の扱い)
率を掛けると1円未満の端数が出ることがあります。労働者負担の端数は、払い方によって処理が少し違います。
| 払い方 | 端数の処理 |
|---|---|
| 給与から差し引く(源泉控除) | 50銭以下は切り捨て、50銭1厘以上は切り上げ |
| 従業員が現金で会社に払う | 50銭未満は切り捨て、50銭以上は切り上げ |
ふだんの給与天引きは上の行です。ちょうど50銭のときは切り捨てになる点が、ふつうの四捨五入と違います。なお、慣習的な取り扱いなどの特約があれば、この限りではないとされています。
| 賃金総額 | 率を掛けた額 | 労働者負担 |
|---|---|---|
| 123,300円 | 616.5円 | 616円 |
| 123,350円 | 616.75円 | 617円 |
雇用保険料計算ツールは、給与から差し引く場合の処理で労働者負担を出します。比べやすいように、事業主負担にも同じ処理を使っています。
雇用保険に入る人の条件
雇用保険の適用事業所で働く人は、次の両方に当てはまれば、原則として被保険者になります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
パートやアルバイトといった雇用形態や、本人・会社の希望は関係ありません。会社の取締役や役員は原則として対象外ですが、部長や支店長などを兼ねていて労働者としての性格が強い場合は加入できることがあります。
令和6年の法改正で、週の所定労働時間の要件は20時間以上から10時間以上に変わることが決まっています。施行は2028年10月1日の予定です。
毎月の控除と年度更新の関係
会社が国に納める労働保険料は、年度ごとの賃金総額をもとに申告します。毎月の給与から引いた額を足し上げた数字とは、端数処理の影響などでわずかに差が出ることがあります。
労働保険料には、雇用保険料のほかに労災保険料があります。労災保険料は全額を事業主が負担するので、従業員の給与からは引きません。
健康保険・厚生年金・所得税まで含めた手取りを知りたいときは、社会保険料・手取り計算で月給全体を計算できます。
よくある質問
通勤手当が非課税なのに雇用保険料がかかるのはなぜですか
所得税と雇用保険では、賃金の範囲の決め方が違うためです。雇用保険では、通勤手当は労働の対償として払う賃金に含まれます。非課税の分も、現物で渡す定期券も含めて計算します。
パートの人も同じ率ですか
同じです。加入の条件を満たしていれば、正社員かパートかに関係なく、事業の種類ごとの同じ率を賃金総額に掛けます。
計算した額は正式な控除額として使えますか
ツールの結果は2026年度の料率による目安です。賃金に含めるかどうかの判断や加入の要否は、所轄の労働局・ハローワーク・社会保険労務士に確認してください。
雇用保険料 計算ツールを開く2026年度の料率で、労働者負担と事業主負担を計算します。
出典
2026年10月17日時点の制度にもとづいて書いています。計算例の数字は、このサイトのツールと同じ計算で出しています。